斜線制限について解説します。
こんにちは。
株式会社ホームリンク代表の吉田です。
本日は、斜線制限について解説していきたいと思います。
斜線制限という言葉は、買主様が不動産を購入する際に重要事項説明を受けますが、その重要事項説明の中で必ず出てくる用語の一つです。
1. 斜線制限とは?
斜線制限とは、日本の都市計画において建築物の高さを制限する規定の一つで、周囲の環境や日照、通風などを確保するために設けられています。
斜線制限には主に以下の3種類があります。
- 道路斜線制限
- 隣地斜線制限
- 北側斜線制限
それぞれ簡単に解説します。
(1) 道路斜線制限
(建築基準法第56条第1項第2号)
- 目的:道路の日照や通風を確保し、圧迫感を軽減するため。
- 規制内容:建築物の高さは、前面道路の反対側の境界線から一定の角度で決まる斜線の範囲内に収めなければならない。
- 計算式:
- 住居系用途地域以外(工業地域など)→ 高さ=道路幅員×1.25(=1:1.25の勾配)
- 住居系用途地域 → 高さ=道路幅員×1.25+5m(=1:1.25の勾配、5mの緩和あり)
(2) 隣地斜線制限
(建築基準法第56条第1項第1号)
- 目的:隣接する敷地の通風・最高を確保するため。
- 規制内容:建築物の高さは、隣地境界線から一定の角度で決まる斜線の範囲内に収めなければならない。
- 計算式:
- 第一種・第二種低層住居専用地域 → 制限なし(代わりに「絶対高さ制限」が適用される)
- 中高層住居専用地域など → 高さ=境界線からの距離×1.25+20m
- 商業・工業系用途地域 → 高さ=境界線からの距離×2.5
(3) 北側斜線制限
(建築基準法第56条第1項第3号)
- 目的:北側にある住宅の日照を確保するため(主に住居系地域で適用される)。
- 規制内容:建築物の高さは、北側隣地境界線から一定の角度で決まる斜線の範囲内に収めなければならない。
- 計算式:
- 第一種・第二種低層住居専用地域 → 高さ=北側境界線からの距離×1.25+5m
- その他の住居系用途地域 → 高さ=北側境界線からの距離×1.25+10m
- 商業・工業系用途地域 → 適用なし
2. 斜線制限の緩和措置
斜線制限にはいくつかの緩和措置があり、これらを活用することで建築の自由度を上げることができます。
- 道路斜線制限の緩和
- セットバック(建物を後退させる)を行うことで、道路幅員を増やし、高さ制限を緩和することができる。
- 隣地斜線制限の緩和
- 隣地が道路や公園の場合、緩和措置が適用される。
- 北側者園制限の緩和
- 勾配屋根(斜めの屋根)を採用することで、建築可能範囲を広げられる。
3. まとめ
- 斜線制限は、建築物の高さを抑え、日照・通風を確保するためのルール。
- 道路斜線、隣地斜線、北側斜線の3つがあり、地域によって適用されるルールが異なる。
- 一定の条件で緩和措置を受けられるため、設計時にはこれらを活用すると良い。
参考リンク
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ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
それではまた次回。
投稿者プロフィール

- 代表取締役
- 株式会社ホームリンク代表。1978年1月生まれ。31歳で不動産業界に転職後、約14年間不動産売買仲介専門エージェントとして従事。その後、2023年12月に株式会社ホームリンクを設立し、代表取締役に就任。お客様との出会いやご縁を大切にする会社を目指しています。
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