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空き家の売却
遠方にある不動産でなかなか管理ができないなどの理由から空き家を放置しているとデメリットばかりが増えてしまいます。法律も強化されましたのでしっかり確認しておきましょう。


1. 空き家対策特別措置法とは?
空き家対策特別措置法とは、2015年(平成27年)に施行された法律(正式には「空家等対策の推進に関する特別措置法」といいます。)で、増加する空き家に対応するための法的枠組みを整備したものです。
この法律により、自治体が危険な空き家に対して行政指導や強制撤去を行う権限を持つようになり、放置された空き家による倒壊・治安悪化・景観の損壊といった問題への対応が強化されました。
また、2023年(令和5年)に法改正が行われ、より幅広い空き家対策が可能になりました。
2. 法律の目的
この法律の目的は、大きく以下の3点です。
- 空き家の適正管理の促進(放置すると危険な空き家の除去・活用)
- 所有者の責任を明確化(管理不全の空き家を防ぐ)
- 自治体の権限を強化(危険な空き家に対して勧告・命令・代執行が可能に)
3. 空き家の定義
法律では、対象となる空き家を「空家等」と定義しています。
空家等とは?
空家等とは、
- 建築物またはこれに附属する工作物
- 居住その他の使用がされていない(または使用の程度が著しく低い)
建物のことを指します。
空き家法第2条第1項
この法律において「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。第十四条第二項において同じ。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。
この空家等のうち、特に問題のあるものについては「特定空家等」や「管理不全空家」に分類されます。
4. 特定空家等と管理不全空家
空き家の中でも、次のいずれかに該当するものは「特定空家等」に指定されます。
(1) 特定空家等とは?(従来からの分類)
① 特定空家等の基準
- 倒壊などの危険がある(地震や台風で崩れる恐れがある)
- 衛生上有害となる恐れがある(ゴミの放置、不法投棄、害虫の発生、害獣の棲家になるなど)
- 著しく景観を損なっている(放置され、周囲の環境を著しく悪化させる)
- 適切な管理が行われていないため、周囲の生活環境に悪影響を及ぼしている(放火、不審者侵入の恐れなど)
空き家法第2条第2項
この法律において「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。
② 特定空家等に指定されると?
- 指導・勧告・命令を受ける(最終的には行政代執行で強制撤去される可能性あり)
- 固定資産税の住宅用地特例が解除される(税負担が最大6倍に増加)
(2) 管理不全空家とは?(法改正により新設)
2023年の法改正により、新たに「管理不全空家」という区分が設けられました。
これは、「特定空家等」ほど危険ではないが、放置すれば将来「特定空家等」になり得る空き家のことです。
① 管理不全空家の基準
- 屋根・外壁などが劣化し、適切な管理が行われていない
- ゴミや雑草の放置、不法投棄がある
- 周囲の環境に悪影響を与える可能性がある
空き家法第13条第1項
市町村長は、空家等が適切な管理が行われていないことによりそのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態にあると認めるときは、当該状態にあると認められる空家等(以下「管理不全空家等」という。)の所有者等に対し、基本指針(第六条第二項第三号に掲げる事項に係る部分に限る。)に即し、当該管理不全空家等が特定空家等に該当することとなることを防止するために必要な措置をとるよう指導をすることができる。
② 管理不全空き家に指定されると?
- 自治体から指導・勧告を受ける
- 固定資産税の住宅用地特例が解除される(税負担が増加)
特定空家等と異なり、行政代執行(強制撤去)の対象にはならないものの、所有者にとっては管理を怠ると大きな負担となります。
5. その他の改正点
その他にも、以下のような改正がなされています。
- 空家等活用促進区域の創設
- 自治体が指定する「空家等活用促進区域」内では建築基準法などの規制が緩和され、空き家の建て替えや用途変更が容易になります。これにより、空き家の利活用が促進されることが期待されています。
- 空家等管理活用支援法人の指定制度
- 自治体は、空き家の管理や活用に積極的に取り組むNPO法人や社団法人を「空家等管理活用支援法人」として指定できるようになりました。これにより、専門的な知識を持つ団体が所有者への相談対応や情報提供を行うことが可能となり、空き家問題の解決が期待されます。
- 特定空家等への対応強化
- 自治体は、特定空家等の所有者に対して勧告徴収権を持ち、勧告や命令が円滑に行えるようになりました。さらに、緊急時には命令などの手続きを経ずに行政代執行が可能となり、迅速な対応が期待されます。
これらの改正により、空き家の早期発見と予防、所有者不在の空き家への対応強化などが図られています。
6. 行政による指導・強制措置の流れ
空き家が適切に管理されていないと、自治体から以下の対応を受ける可能性があります。
- 助言・指導(空き家の所有者に対し、適切な管理を促す)
- 勧告(特定空家等・管理不全空家に指定し、固定資産税の優遇措置を解除)
- 命令(従わない場合、50万円以下の過料を科す)
- 行政代執行(強制撤去)(特定空家等のみ、自治体が代わりに撤去し、費用を所有者に請求)
7. 空き家を所有する人がすべきこと
空き家を所有している場合、以下の対策を早めに検討することが重要です。
- 定期的な管理(除草・清掃・修繕)を行う
- 売却や賃貸などの活用を検討する(不動産会社に依頼、空き家バンクを活用するなど)
- 空き家の解体を考える(解体費用補助金などの活用)
自治体によっては空き家対策の補助金や税優遇を提供しているため、活用するのが有効です。
8. まとめ
空き家についてのポイントをまとめます。
- 空き家法とは?
- 空き家の適正管理を目的とした法律(2015年施行、2023年改正)
- 「特定空家等」とは?
- 倒壊・衛生・景観の問題がある空き家 → 勧告で固定資産税の負担増、最終的に強制撤去(撤去費用は所有者負担)の可能性あり
- 「管理不全空家」とは?
- まだ特定空家等ではないが、管理が不十分な空家 → 勧告で固定資産税の負担増
- 自治体の対応
- 助言 → 勧告 → 命令 → 行政代執行(特定空家等のみ)
- 空家所有者の対策
- 管理・活用・売却・解体のいずれかを早めに検討する
このように、空き家を長い間放置していると、固定資産税の負担増や強制撤去のリスクがあるため、早めの対策が重要です。
当社では、このような空き家に対しての維持・管理サービスを行っていますが、どの程度まで管理するのかなどのサービス内容についてはお客様のご要望などよって個別の判断・対応としています。
また、売却する場合のご相談または不動産価格の査定、解体する場合の解体業者のご紹介、相見積もりの依頼対応など幅広く対応させていただきますので、空き家のことでお困りの方はお気軽にご相談ください。
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