売却前に知っておくべき「告知義務」と契約不適合責任の基本
こんにちは。
株式会社ホームリンク代表の吉田です。
不動産売却で後を絶たないのが、「売ったあとに発覚するトラブル」です。
その多くは、
- 告知事項の伝え漏れ
- 契約不適合責任に対する理解不足
が原因です。
「知らなかった」
「大したことじゃないと思っていた」
この判断が、後から損害賠償や契約解除につながるケースも珍しくありません。
この記事では、売主様が最低限知っておくべき
- 告知義務とは何か
- 契約不適合責任の基本
- 実際に起こりやすいトラブル例
- トラブルを防ぐための考え方
を、できるだけ噛み砕いて解説します。
1. 告知義務とは何か?
(1) 告知義務=「買主の判断に影響する事実を伝える義務」
告知義務とは、物件に関する重要な事実を、売主が買主に伝える義務のことです。
ポイントは、「売主がどう感じるか」ではなく「買主の購入判断に影響するかどうか」です。
(2) 告知が必要になりやすい代表例
以下は、特にトラブルになりやすい告知事項です。
① 物理的瑕疵
- 雨漏り
- シロアリ被害
- 建物の傾き
- 給排水管の不具合
過去に修理していても、事実として発生していた場合は告知対象になることがあります。
② 心理的瑕疵
- 自殺・他殺・事故死
- 火災による死亡事故 など
「もう何年も前だから大丈夫」という自己判断は危険です。
告知の要否は、事案の内容・経過年数・地域性などを総合的に判断します。
③ 環境的瑕疵・近隣トラブル
- 近隣からの騒音・悪臭
- 反社会的勢力との関係
- 境界トラブル
「個人的な感情の問題」と思われがちですが、客観的に継続性があるものは告知対象になり得ます。
2. 「知らなかった」は通用するのか?
結論から言うと、本当に知らなかった場合は、原則として告知義務違反にはなりません。
ただし注意点があります。
- 知っていたのに軽く考えていた
- 過去に指摘されたことがある
- 修理・クレーム履歴がある
こうした場合は、「知らなかった」では済まされない可能性が高くなります。
判断に迷う場合は、必ず不動産会社に事前相談するのが安全です。
3. 契約不適合責任とは?
(1) 契約不適合責任=「契約内容と違う場合の売主責任」
2020年の民法改正により、従来の「瑕疵担保責任」は 契約不適合責任 に変わりました。
簡単に言うと、
- 契約書に記載された内容と実際の物件の状態が違う
この場合、売主が責任を問われる制度です。
(2) 買主が請求できる主な内容
契約不適合が認められた場合、買主は以下を請求できます。
- 修補(修理)
- 代金減額
- 損害賠償
- 契約解除(重大な場合)
売却後であっても、一定期間は責任が残る点が重要です。
4. 契約不適合責任は免責できる?
多くの中古住宅売買では、「契約不適合責任を免責・一部免責」とする特約を設けます。
ただし、ここで非常に重要なポイントがあります。
(1) ❌ 告知義務違反がある場合、免責は効かない
- 知っていた不具合を告知しなかった
- 事実と異なる説明をした
この場合、免責特約があっても売主責任を問われる可能性があります。
つまり、免責=何でも隠していいではありません。
5. よくあるトラブル事例
ケース①:雨漏りを告知しなかった
→ 売却後に再発
→ 修理費+損害賠償請求
ケース②:近隣トラブルを説明しなかった
→ 入居後に問題化
→ 契約解除を求められる
ケース③:「直したから大丈夫」と自己判断
→ 修理履歴を告知せず
→ 告知義務違反と判断
いずれも、事前に正直に伝えていれば防げた可能性が高い事例です。
6. トラブルを防ぐために売主が意識すべきこと
(1) 判断に迷ったら「告知する」方向で
告知したからといって、必ず売れなくなるわけではありません。
むしろ、後から発覚する方がリスクは大きいです。
(2) 書面で残す
- 重要事項説明書
- 付帯設備表
- 物件状況報告書
口頭ではなく、必ず書面に残すことが重要です。
(3) 不動産会社と情報を共有する
売主だけで判断せず、
- 過去の経緯
- 修理履歴
- 気になっている点
はすべて担当者に伝えましょう。
それが、結果的に売主自身を守ることにつながります。
まとめ|正直な情報開示が最大のトラブル対策
告知義務と契約不適合責任は、「売主にとって不利な制度」に見えがちですが、実際は逆です。
- 正しく告知する
- 契約内容を明確にする
- 不動産会社と連携する
この3点を押さえれば、不要なトラブルの大半は防げます。
不動産売却は、「売れたら終わり」ではありません。
安心して売却を終えるために、売却前の準備こそが最重要です。
本日はここまで。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
投稿者プロフィール

- 代表取締役
- 株式会社ホームリンク代表。1978年1月生まれ。31歳で不動産業界に転職後、約14年間不動産売買仲介専門エージェントとして従事。その後、2023年12月に株式会社ホームリンクを設立し、代表取締役に就任。お客様との出会いやご縁を大切にする会社を目指しています。
最新の投稿
不動産コラム2026年2月7日売却前に知っておくべき「告知義務」と契約不適合責任の基本
不動産コラム2026年1月31日内覧で好印象を残す方法──買主が見ているポイントと準備リスト
不動産コラム2026年1月24日売却はどれくらいで決まる?平均期間と“早期売却”を実現するポイント
不動産コラム2026年1月17日売却を成功させる“戦略の作り方”──広告・価格調整・公開範囲まで
